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V-9冒険スキープロジェクト
南極大陸調査から
南極から北極までの地球横断計画! 私はその調査をするため、真冬の日本を飛び立った!
1999/1/14
これから襲う苦しみも知らず,真夏の南太平洋の光を浴びて,私は元気にホバート港を出発しました。
今回の行き先は,南極大陸で唯一の活火山・エレバス山で、現在も噴煙を上げて活動している山です。V-9の出発地点でもあります。今回は目的地エレバス山に行くために、特別な船・砕氷船を選びました。
まず私を苦しめたのは船酔いです.特に南太平洋と南極海は「どんぶらこ〜どんぶらこ〜」と揺れて,ヘロヘロになってしまいました.ゆれは激しさを増し,35度ぐらい傾くことも.寝ている間のこと,私のベットは縦にゆれていたので,体全体が上下にゆられて、リズミカルに頭が壁にゴツンごつんとあたり,ほとんど睡眠がとれなかった.最初は体の具合が悪くて寝てばかりいたのだが,思いなおして少し体を動かさなければと船のデッキに出てジョギングを始めた.
1999/1/21
ついに65°Sのラインを超えた.それは、いよいよ南極圏に入ったことを意味していた.
南極圏に入ると突然,船のゆれが止まった!
それからは静かな船旅だと思ったのだが,今度はがたがたとブルトーザーが走っているような音がする.その上,音と共に振動も伝わってくる。デッキに出て外を見ると,見渡す限り海は一面雪というか,氷に埋め尽くされていた.そこを,私が乗っているこの砕氷船が,音を立てながら氷を割って進んでいく.確かに氷に挟まれているので揺れないが,今度は氷を砕いていくのだ。氷が無いところでは,静寂な海を突き進んでいるという感じだった.
そんな繰り返しをしながら,私は目的地エレバス山に確実に向かっていた.ホバート港を出発してから11日目にして、やっと遠くにエレバス山が見えた!どんどん近づいてくる.はじめて見る恋人のようにドキドキする.さっそく双眼鏡を取り出し,何回もジィーッと見入る.
いよいよ調査の開始である天候や船の位置などを考えると,本番さながらのワンチャンスしかない。それも、大掛かりなヘリコプターに乗っての空からの調査で天候に左右されやすく.危険も伴う.
さあ、その時がやってきた!ピーンと気持ちが張り詰める。
私はヘリの出発合図を待つ.!
ヘリコプターの出発合図がでた.!GO!GO!
天気は快晴,風も微風で絶好のコンディションで、ヘリは舞い上がった.
一路エレバス山を目指して,青空をかき分けて進んでいく.
(マクマドール基地にあるObserbation
Hillにて。1999/1/26)
機内は撮影機材でいっぱいだった. ニコンFM2のカメラを取り出し,シャッターを無我夢中で切る. 調査が始まった! このカメラのほかにも,ニコンとソニーのデジタルカメラ2台、ソニーのデジタルビデオカメラが2台、そしてバカチョンカメラが1台で合計6台の撮影機材を、次から次と使いこなしていく. 現地で頼んだ人にスチールカメラで撮影してもらう.
目の前で見るエレバスの火山には、圧倒する何かがあった!火山の煙と大きなクレーターの中には溶岩があり,南極大陸の鼓動が聞こえてくる.やっぱり、選んだ山に間違いは無かった!火山にこだわった理由はただ一つ.
火山の中を滑って見たかったからだ!
火口の幅約600m、マグマまでの深さ約250m、マグマ近くの気温約+1000℃
もし近づいたら人間は焼け溶けてしまいますが,ご心配なく.わたしは第1段階の深度120mのところを滑って,調査をしてから第2段階に進むつもりです.溶岩の湧き出す第3段階には行きません!
南極大陸の火山をすべるということは,心臓部をすべるのと同じである.標高は富士山とほぼ同じの3794mですが,活火山の中をすべるのは世界初で,それも南極という極寒の場所では,もちろん前代未聞の地球初挑戦になります.
ただ滑るのではなく,火山研究所にエレバス山の映像資料や研究材料を提供するため火口の中で研究テストも行い、自然科学のお役に立つことに全面協力するつもりでいます.空撮での撮影がほぼ終わったところで、標高1500m地点に降りて最終的なスキーテストをやることにしました。
ヘリコプターが下りられる平坦な所を探して無事にランディング!早速今回スキーテストのために持ってきたサロモン社製の「スノーブレード」をはいた.テストなので斜面は緩い場所を選んだが,雪質は南極の強風に圧迫された「ウィンドクラスト」でとても硬い!斜面は波ゆっていて,がたがたの状況だった.1回,2回とターンで滑ってみた.この硬い雪質は本番のときに手ごわい相手になるだろう.
スキーで滑っている私の目には、雪原が遥か氷の海まで続いている特別な景色が焼きついた.それは,今までに見たこともない雄大で静寂な宇宙を感じる景色だ.スキーテストも無事に終わり,ヘリコプターで今回のベースキャンプである船に戻ったのは、1月26日 22:00PM.
その後は,船と地上からのエレバス山の観察や撮影を毎日行いました.
船旅で行く南極大陸は多くの時間が必要です.行き帰りに15時間以上も費やしましたが,南極まで行くまでの遠い距離感がよく分かりいいこともありました.
現代はスピード時代で,南極まで行くのに飛行機を使えば1日もかからずに行けるでしょう。しかし、南極大陸をより知るためには船が最高だということが分かりました.
その1例が、今回の南極調査でもっとも不思議な所のひとつだった、南極の砂漠「ドライバレー」に行ったときです.歩いてみると,いたる所に大きな”三綾石”が転がっていて,雪がない石ころと砂だけがある谷です.匂いもまったく感じない、生物がいる気配のまったくない,南極の姿とは似ても似つかない異質な空間でした.
冷たい風だけがこの空間を吹き抜けて、人間を寄せ付けない空気だけが存在しているような所:ドライバレーは、まさに砂漠だった!しかし、ここは何千万年の地球の秘密がそのまま真空パックされて詰まっているような場所で,多くの自然科学者がこのドライバレーに注目しています.
私の、V-9の冒険は、南極から始まって南米大陸、アフリカ大陸、そして北極圏・グリーンランドで終わるという大冒険です.
なぜ南極から北極という両極圏を選んだのか?
それは、私が今までに行った冒険にはない新世界を発見してみたかったからです.
人間も寄せ付けない厳しき極地の自然の中には、「超純粋世界」があります.
それは,シンプルでピュア、美しいほど厳しい自然条件がある.
局地の大自然には脈々生き抜く強い生物たちが存在していたからです.
その世界を少しでも多くの人に伝えることができればと思っています.
今回の調査で「地球を伝える」というテーマを持った次期冒険計画は、また1歩前進しました.
和田好正氏のホームページはこちらです.http://www2u.biglobe.ne.jp/~wadapro/