●桜島南岳は1955年以来50年近く山頂火口からの噴火を続けている。
爆発や噴火による噴煙は1040mの山頂から約1000〜3000m上昇し、
連続的に放出される噴煙は300〜1000m上昇していることが普通である。
このような噴煙の上昇と移流・拡散は、混合層上部の自由大気の
様相をつかむ格好のプローべである。
●噴煙は大量の火山灰とともに火山ガスを伴っており、その中の
二酸化硫黄放出量は年間約30〜70万tと見積もられている。これは
日本の人為起源総排出量の年間約100万tに比べられる大きな量であり、
その影響は桜島内外での定点観測などでしばしば環境基準値を越える
高濃度事象として検出されている。
●火山ガスは噴煙とともに比較的安定した上層大気中を鉛直方向には
あまり拡散せずに移流して、その多くは海上に拡散すると考えられるが、
SO2は大気中で酸化されて硫酸エアロゾルとなり、時には
九州各地で酸性雨をもたらしている。多くの場合、桜島からの火山ガスが
1000〜2000mの煙流高度を保つと考えられるので、その長距離輸送の検出
には平地よりも1000m級の山上観測が適している。実際、桜島からの
火山ガス移流のこのような挙動は、137km離れた雲仙野岳(標高1142m)
でのSO2高濃度事象の検出や150km離れた阿蘇草千里(1150m)
における長期連続観測データからの解析からも確かめられた。
このような上層での長距離移流に対し、火口から数kmとは云え、
約1000mの標高差のある桜島周辺部における高濃度事象の機構は
どのようなものであろうか。
木下他、桜島山麓における二酸化硫黄高濃度時の風系、第13回風工学シンポジウム(1994)より
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